勤労感謝

輝いているうちに

おいらが中学の頃、いつも立ち読みだけで済ませていたサッカー雑誌を初めて購入した時があった。2冊ほど。付録に付いていた1人の選手の特大ポスターが欲しかったから。1冊は10番をつけた日本代表ユニフォーム姿。もう1冊も10番をつけた、オレンジ色のユニフォーム姿だった。家に帰るなり部屋の壁の一角を陣取って2枚のポスターをデカデカと貼り付けた。嬉しかった。あの頃からずっとヒーローだった・・・
ミスターエスパルス澤登正朗選手が今季限りでの現役引退を表明した。
1993年のJリーグ開幕、実質はお披露目の92年ナビスコカップからの14年間、常に地元の清水エスパルスを一途に愛し、初代新人王、96年ナビスコカップ優勝、99年2ndステージ優勝&ベストイレブン、2001年度天皇杯優勝、多くのタイトルに貢献し日本代表としてはドーハの悲劇も経験。現在J1リーグ戦通算出場数381試合は歴代最多、開幕から13年間J1に在籍し13年連続ゴールはカズやゴンでも成し得ない唯一の存在。
今でもすぐ目に浮かぶほど焼き付いている99年チャンピオンシップ第1戦でのダイレクトミドル、第2戦での直接FK。チームがピンチになればなるほど、頼れて、輝いた。ゼロックス杯で鹿島のファビアーノに競り勝ったヘディング。柏戦では右サイドから、ヴェルディ戦では左サイドから角度の全く無い場所から決めたFK。そして先日の神戸戦で放ったシュートから決勝ゴールが生まれ、チームがJ1残留をほぼ手にした時、引退を表明した。11月23日。まさに勤労感謝の日だった。
35歳。まだまだやれると言う声が多いが「輝いているうちにやめたい」と言うのが本人の美学。移籍しようがケガしようが、しぼりカスになるまでリアルに現役にこだわる現実派のプロが多い中、美しく去るノボリは夢をみせるかのようなプロ選手なのかもしれない。今もなお当時のまま一切変わらず壁に貼り付けてある宝物となった2枚のポスターを眺めるとそう思えてくる。ノボリの記憶はずっと輝き続けるし、それを追ったファンも夢を見続ける。
まぁまだ引退したワケでは無い。お疲れ様はまだ早い。リーグ最終戦で出場記録をさらに1つ伸ばし、天皇杯を勝ち進み06年ワールドカップイヤーの元日、天皇杯のタイトルを手土産に華々しく引退ってのが理想。そして夢はまだ終わっていないしね。現役のうちにエスパルスがただ1つ獲れなかったJリーグ年間チャンピオン。いつの日か指導者としてノボリがそのタイトルにエスパルスを導いてくれる事を信じて。
・・・って、それまでにさっさと獲得してくれるならそれはそれで申し分無いんだが(笑)